【国語の系統的学習】低・中・高学年で身につける読解力のステップアップ法

教育

みなさん、こんにちは!あいぽんです。

国語指導、第3弾です。前回読んでいただいた方ありがとうございます。

効率よく、そして効果的に教材研究を進めるためのヒントや、指導力を高める方法をお伝えできたらと思っています。みなさんのお役に立てれば嬉しいです!

文学的な文章 スキル

まず、子どもたちに物語を読むためのスキルがなければ、物語を理解することはできません。前回の記事でもお伝えしたように、系統性を意識しないと、子どもたちに必要な力が定着しません。もしまだ読んでいない方は、ぜひ前回の記事『【国語の基礎を育てる】系統的にスキルを積み上げるための授業の進め方とは?』をご覧ください。

【国語の基礎を育てる】系統的にスキルを積み上げるための授業の進め方とは?
みなさん、こんにちは!あいぽんです。 国語で何を教えるか、第2弾です。前回読んでいただいた方ありがとうございます。 効率...

低学年

具体的に、2年生で学習するスイミーで見てみましょう。

  • 場面の設定:物語の中で起こる時間や場所を把握することです。
  • 登場人物:物語の中で動いたり話したりする人、動物、植物のことです。(劇で演じられるものと考えることもできます。)
  • 内容の理解:登場人物が何をしたのかを読み取り、特にその行動に注目します。また、どのようなトラブルが起こり、結末がどうなったのかを読み取らせます。

具体例として、2年生の教材『スイミー』を見てみましょう。

  • トラブル:スイミーが仲間外れにされます。
  • 心の回復:スイミーはいろいろなものを見て、心が回復します。
  • トラブル:今度は大きな魚に襲われます。
  • 解決:スイミーたちは力を合わせて大きな魚を追い払います。

このように、簡単に物語の流れをつかむことができます。

物語を読むためには、まず大まかな内容をしっかりと理解することが重要です。特に「トラブルが起こり、それをどう解決したか」という一連の流れがわかれば、次の学年でも同じようなアプローチで物語を理解する力がついていきます。子どもたちが自分でここまで読み取れるようになることが目指すべきポイントです。

中学年

次に、中学年でのポイントを確認していきましょう。

  • 登場人物の相互関係:登場人物同士の関係性を理解すること。
  • 中心人物:物語の中で心情の変化が最も大きい登場人物。
  • 山場(クライマックス):登場人物の心情が大きく変化した瞬間。

まず、中心人物についてです。中心人物とは、心情の変化が最も大きい登場人物のことです。例えば、アニメ『ドラえもん』で考えてみましょう。子どもたちに『ドラえもん』の中心人物は誰かと聞くと、多くが「ドラえもん」と答えます。これは、中心人物を判断するためのスキルが身についていないからです。

しかし、中心人物は心情の変化が一番大きい人物だと伝えると、子どもたちは「のび太」と答えるようになります。このように、スキルを繰り返し使い、熟練度を上げないと忘れてしまいます。その結果、次の文学教材でも同じことを教え直さなければならず、時間がかかります。だから、スキルを習得した後は、少しだけでも練習する時間を取ると効果的です。

次に、山場(クライマックス)です。これは、心情が大きく変化する場面のことです。『ドラえもん』で例えるなら、のび太がドラえもんから道具を借りて、最初はうまく使えているけれど、調子に乗って失敗するところが山場(クライマックス)です。

こういったスキルを教える際には、子どもたちがよく知っているアニメなどを使って例を挙げると、理解しやすくなります。

高学年

次は、高学年の国語学習について見ていきましょう。(これまでの学びの積み重ねが前提です。)

  • 表現技法:作者が伝えたいことを効果的に伝えるための手がかり
  • 主題:作者が作品に込めた思い

まず、表現技法について説明します。比喩、倒置法、体言止め、対句法、反復法などが含まれます。また、作者が独自に作り出した造語なども表現技法の一部です。これらの技法は、作者が伝えたいことをより強調するために使われることが多く、読み取ることで作品の内容や情景を深く理解する助けになります。例えば、表現技法が使われることで、物語の情景がより鮮明にイメージできるようになります。

次に、主題です。主題とは、作者が作品に込めた深い思いです。これは難しい部分ですが、6年生になると、物語そのものだけでなく、作者の生き方や考え方を踏まえて、その作品にどんな思いが込められているかを考える必要があります。

例えば、6年生の教材「やまなし」を見てみましょう。作者の宮沢賢治は、生まれた頃から度々災害に見舞われ、その経験から農業に関心を持ち、人々が安心して農作物を作れるようになりたいと願うようになりました。

「やまなし」では、2つの幻灯シーンが描かれています。5月の場面では、カワセミが魚を捕まえる姿をカニの兄弟が恐れる話。12月の場面では、やまなしが落ち、カニの親子がその甘い香りに引き寄せられていく話です。

これらのシーンを通じて考えると、12月の場面は、災害や妹の死など、突然命を奪われることへの恐怖を表しているのではないかとも考えられます。しかし、やまなしのように熟した命は、他の生き物に喜びを与えることができる、つまり命をまっとうすることの価値を示しているのではないでしょうか。このように、作品の主題は読み手によって解釈が異なることもありますが、作者が込めた深い思いを読み取ることが大切です。

終わりに

低学年

低学年では、物語の基本的な構成や登場人物の行動に注目し、物語を読み取る力を養います。具体的には、場面設定や登場人物、出来事、結末など、物語の大まかな流れを理解することが重要です。この段階では、子どもたちが物語のトラブルや解決策を把握できるようになることを目指します。

: 2年生の「スイミー」では、スイミーがどのように困難に立ち向かい、仲間と協力して解決するかという一連の流れを学びます。こうした物語の基本構造を理解することで、次の学年での学びをスムーズに進められます。


中学年

中学年では、物語の中心人物や登場人物同士の関係に焦点を当て、物語の構造や登場人物の心情変化を深く理解する力を伸ばします。また、物語のクライマックス(山場)を特定し、その場面での心情の変化がどのように物語に影響するかを読み解きます。

: アニメ「ドラえもん」で例えると、のび太が中心人物であり、彼の心情変化や、山場での失敗や成功のプロセスを理解することが、物語を深く楽しむためのスキルです。このスキルを習得することで、次の学年でも一貫して物語を分析する力が育ちます。


高学年

高学年になると、物語の表現技法や主題に注目し、より深い読み取りが求められます。表現技法(比喩、反復法、倒置法など)を理解することで、物語の情景をより具体的にイメージし、作者の伝えたいメッセージを捉えることができます。また、主題についても、作者の人生経験や思想を踏まえた深い考察が必要となります。

: 6年生の「やまなし」では、作者の宮沢賢治が経験した災害やその思いを作品にどう反映しているかを読み取ることが重要です。これにより、物語の表面的な出来事だけでなく、作者が何を伝えたかったのかという深い理解ができるようになります。

低学年から高学年にかけて、国語の学習は系統的に進められます。低学年では物語の基本的な理解、中学年では人物関係や心情の変化、高学年では表現技法や主題の深い読み取りと、段階的に力を積み重ねていくことで、子どもたちは物語や文章を深く理解し、読解力を高めていきます。この積み重ねが、次の学年へのステップとなり、総合的な国語力の向上に繋がっていきます。

最後に

最後までお読みいただき、ありがとうございます!この記事が、国語の学習における系統的なスキル積み重ねの大切さを感じていただけたなら、とても嬉しく思います。子どもの国語力を伸ばす一助となれば幸いです。

もしこの記事に関してご質問や、もっと知りたいことがあれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。これからも学びに役立つ情報をお届けしていきますので、ぜひまたお立ち寄りください!

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